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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　手術をし、一人での生活は困難

私の実母は８９才。昨年３月末まで一人住まいをしていました。３月初旬、腹痛と嘔吐で病院に行くと腸閉塞で「即入院、即手術」。年齢も年齢だけに腸閉塞ならばと覚悟をしていたのですが、開けてみると腸を切ることなく済みました。（７２歳の時、胃を全摘、８０歳の時、左乳全摘。）

入院生活３週間。１０日位で退院してもよいとの許可が出たのですが、一人住まいの家に帰るのは、食べること一つとっても心配なので退院を遅らせていました。本人は、歩くことが好きで入院前まで毎日２時間歩いていましたので病院でも廊下や階段をセッセと歩いていました。そんなに大きな病院ではないのでたかがしれています。

退院して３日目には東京の我が家にきていました。やっと歩ける状態でした。よく言われます。「老人は入院するとすぐに足が弱くなるよ。」「骨折して手術をするとぼけやすくなるよ。」本当だと実感しました。孫が「おばあちゃんは、寝たきり老人とあまりかわらないね。一日の殆どを横になっているもの。」と言うほど布団の中で生活していました。本人としては、トイレや食事、近所の散歩の時は起きて動いているので布団の中での生活が大半を占めているとは感じていません。「もう少し、座って生活をしたら？」「横になっているばかりだと腹筋が弱くなるから、座っていたら？」というと怒るのです。自分では精一杯頑張っているのでしょう。

９月、１０月と月日がたっていきました。そろそろ年末どこかに行こうかと計画を立て始めました。元気だったら夏スイスに行く予定だったのです。これが最後の家族旅行になるかもしれないので暖かい所、石垣島とかグァムとか候補に上がりました。「飛行機に３時間半乗るのだけど大丈夫かな？」このところ３時間以上座っていないので、まず動き回れない飛行機に中のことが心配でした。「３時間半ならワインを飲み、食事をしているとすぐに着くわ。」との一言で決まり。グァムに行くことにしました。

１２月２４日、早朝に家を出て成田空港へ。電車を乗り継いで行き、しかも寒い朝でした。途中、カイロ代わりに暖かいお茶で暖をとりました。飛行機の中では「飛行機の食事が楽しみだわ。」と、デザートを除いて全部食べました。
　
　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　無事グァムにつきました。

気温は３０℃。炎天下だとさすがに暑い。
翌日、レンタカーで島内一周に出掛けました。海のきれいなこと。広大な土地が赤土だからでしょうか、作物は作られていません。日本だと電車にのると畑や田圃を目にするものですが、行けども行けども海と密林。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　横井庄一さんの精神力は素晴らしい。

横井庄一さんが２８年間生活をしていた洞窟を見学しました。その内１５年間は、一人きりになっての生活でした。穴は直径１メートル位。すぐ近くに川があり、竹藪に囲まれた密林の中でした。母は、同じ世代を生き抜き戦争の犠牲者となった横井庄一さんの精神力にいたく感動し、グァムにいる間中「横井さんの精神力は素晴らしい。日本に帰ってきて３０年間は、普通の人の生活が出来たのだからいいけど。私も頑張らなくては・・・。」
とグァムに来て一番感動し、グァムにきて良かったようです。
　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　毎日、毎日座っていました。

海が見える部屋から毎日毎日海を見ていました。折角来たのだからと水着も新調しました。その水着を着て海に足だけつかりました。その後は木陰でチェアーに寝そべって遊んでいる人を眺めていました。次の日は、ホテルのプールに。赤ちゃんに微笑んだり、声をかけたり笑顔絶頂の一日。自分もプールに入りたくなったのでしょう。赤ちゃんプールで足を投げ出して水を浴びていました。ベッドに横になっている時間が極端に少なくなりました。夜は、食事に車で出掛けます。きょうはタイ料理。次の日は中華料理。その次の日はベトナム料理と家ではなかなか食べられない料理をビールと一緒に食べると食がはずんでよく食べること、食べること。食後は、大型スーパーをおばあちゃんに見せてあげると言って連れていかれ、そのスーパーで大きな大きな買い物車に寄っ掛かるようにして歩いていました。
　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　お年寄りはどこも少ない

スーパー、海、ホテルどこに行っても母の年齢の方を見かけることが殆どありませんでした。打ちっ放しのゴルフ場に３日間通いましたが、受付のフリピンの女性と仲良くなりました。あちらは日本語がだめ。母は英語がだめ。「How old？」と尋ねられ「何歳にみえますか？」と反対に聞きました。すると「７０歳代？」と言われ「来年９０歳」と答えるとびっくり驚いて目をパチクリ。母はその姿を見て喜ぶのです。

　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　帰国して

寒い東京に戻ってきました。
寒い１月、２月だけでも暖かい所で生活できればと思います。無理ですが・・。
一番の成果は、大変に元気になったことです。まず大きな声で話せます。以前より座る時間が増えてきました。なにより「横井庄一さん」を励みにして生活しています。
毎晩、お風呂上がりには乾布摩擦をし、スワットもしています。

　
勿論、お化粧はみんなが起きてくるまでにはちゃんとしています。
ゲオールレディになって４０年。病気の時以外は１日たりとも忘れずにお化粧しています。


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